歯ぎしり
「歯ぎしり」ってどんなもの?
みなさんは、「歯ぎしり」と聞いてどんな様子を思い浮かべますか?
知人・友人と旅先で就寝する際にキリキリと聞こえてくるあの音のことでしょうか?
「歯ぎしり」とは、歯本来の機能と関係なく、口の中に食べ物のない状態で、上下の歯をギュッとくいしばったり、ギリギリすり合わせたり、間歇的にカチカチかみ合わせたりする習癖であるとされています。
これらのうち、音がなるのは歯をすり合わせたり、かみ合わせたりするときで、くいしばる場合の多くは音がなったりはしません。音のする歯ぎしりをしているのは全体のせいぜい2割ぐらいの方であると言われています。
何で歯ぎしりをするの?
近年の研究の結果、歯ぎしりをすることで、脳の中でドーパミン、エンドルフィンといったホルモン (俗に言う脳内麻薬) が分泌されることが確認されています。
すなわち精神のバランスを保つのに一役かっていることが分かってきました。 現代社会において、ストレスのない生活を営むことは不可能といってよいほど、誰もが何らかのストレスを抱えながら生きていることでしょう。
そんな中で、ほとんど全てのヒトが無意識的に、歯ぎしりをストレス発散のはけ口として利用しているのだということが分かってきたのです。
ものを噛む、他者とコミュニケートする (サ行・タ行発音は上下の歯の間から息を抜くことで発音します。
また外観上、歯がないのはあまり好ましくないですよね) と並ぶ、歯本来の機能の一つとして歯ぎしりを、捉えるべきであるとする研究者も出てきました。
また、噛むという行為は動物的本能に根ざすものなので、就寝中大脳新皮質が活動を休んでいる際に本能が呼び覚まされて歯ぎしりをするのだという説もあります。
歯ぎしりをするとどうなるの?
さて、歯ぎしりの際、どのくらいの力が歯に加わっているかについても考える必要があります。
そもそも、歯の外壁をなすエナメル質というのは、サファイヤ位の硬度を持つ結晶です。
また上下の歯の凸と凹は互い違いにかみ合うので非常に簡単に食べ物を粉砕することが可能です。
この硬い歯を効率よく用いるので、日常の食生活は、1本当たりの歯に加わる荷重はせいぜい10〜20キログラム位の力の大きさで営まれています。
一方で噛むための筋肉は口の周囲に数種類存在し、それらの発揮できる力の総和は男性で歯1本当たりに100〜150キログラム、女性でも80〜120キログラムだと言われています。
もちろん意識下(起床時)ではそれほどの過大な力は発揮されません。その前に痛みを感じるからです。
しかし就寝中だと筋肉が発揮できる最大の力で歯ぎしりをしてしまうと言われています。
「やってないと思うんだけど…」というあなた
ちなみに、歯ぎしりをした翌朝には歯が浮いた感じ、歯がしみる、耳前部 (顎の関節) の違和感、口の周囲の筋肉のハリなどが自覚できる場合もありますが、1年365日毎日歯ぎしりしてしまうわけではありませんし、1日8時間睡眠をとられたとして、8時間通しで歯ぎしりするわけでもないため、自覚できていないことの方が多いです。
1日のうちでも、また1年を通してもやったりやらなかったりを繰り返しています (一晩の中では夢を見る睡眠=REM睡眠に一致して、特に悪夢をみているときに歯ぎしりをしているとの報告もあります) 。